ペットボトルのキャップを集めてワクチンを送ろう

(2008/7/28 新規に調べた内容を含めて書き直し)

ウチの会社内でも局地的にこの運動が広まっているのに気がつきました。


でも、これって、「アルミ缶のプルタブを集めて車椅子を送ろう」に似ていませんか。


「アルミ缶の…」に関する都市伝説見地からの解説は、wikipediaが良くまとまっているので目を通していただきたい。

プルタブがアルミ缶本体から切り離される構造の時代に、「ゴミを散乱させない」という環境美化という目的と、「ゴミ扱いされていた物を集めれば換金できる」という募金的要素がうまく合わさって生まれた運動だった。


ペットボトルのキャップの話に戻るが、実際キャップを集めれば換金できるらしい。
400個で10円とか、1kgで10円とか、そういう記述を見つけた。

集めれば換金可能という点で、プルタブの仕組みと同じようなものらしい。


ここでまず、「ペットボトルのキャップを集めてワクチンを送る」の仕組みのまとめ。

  • プラスチック回収業者に依頼して、まとまった数のキャップを買い取ってもらっている。


別にマジックでも何でも無いんだな。これに関して素直にこの運動に賛成できない点その1。
ペットボトルのキャップは、すでに「その他プラスチック」として回収サイクルに組み込まれているところが多い。事業主は地方自治体。
不純物が混じりにくい、形状・状態が一様である、という点でリサイクルに回しやすい資源を掠め取っているだけじゃないのか、という疑問。


次に、この運動自体に大して労力は必要無い。
賛同する人しか集めないし、収集して業者に渡すのは言いだしっぺでさほど労力を労力と思ってない人だろうし。
「労力を必要としない」という点は、過剰なボランティア精神を必要としないという点で募金システムとしてはよく出来ている。

ただし場所と広告は必要。さらにそれを負担するのは大抵賛同者が所属する組織。
しかも「大して労力は掛からないのに、なぜ賛同してくれないのか。場所を提供してくれないか。企業のイメージアップにもなるのに。」とか言う。これはウチの会社で実際にあったケース。結局会社としては賛同していない。


また投入する労力の割りに、得られる金額はさらに微々たるものである。
実はこれも良い方向に働いている。

現金を直接募金させる募金システムだと、どうしても利権が絡むよね。
募金やボランティア活動にもコストがかかるのは当然なんだけど、「募金から必要な分のコストを回収する」という手法は募金する側の同意はあまり得られていない。

ペットボトルのキャップ回収の場合、得られる金額があまりに微々たる物なので、そもそも募金利権が介入する余地が無いというのが実は良い点。

得られるものがせいぜい端金なおかげで、利権に食い散らかされることなく、ターゲットに届けることができる。


というわけで、募金システムとしてはよく出来ているが、微小なコストの積み重ねだとか費用対効果とか無視して周囲に賛同を求めるのがウザがられる、それが無ければ別にいいんじゃない、というスタンスで。