DE代替ソフトウェアの導入

WHS 2011はWHS v1のようなDrive Extentender(以下DE)の機能がありません。

WHS v1のDEとは複数の物理ディスクを1つの論理ディスクボリュームに結合し、かつ複数の物理ディスクを使ってファイル単位でデュプリケーションを行う機能です。

物理ディスクとしてはファイルシステムをそのままアクセスすることができるので、スパンボリューム*1のように物理ディスク障害発生時のリスクが少なく、かつファイル単位(WHS v1コンソール上ではフォルダ単位で指定)のデュプリケーション機能を持っているので、簡易なバックアップ機能として利用できました。

 

 デュプリケーションはRAID1と同じ意味なので完全なバックアップにはならないのですが、家庭用用途としてはファイルの論理障害よりはディスク障害対策が重要なので、バックアップとして十分だったと思います。

 

WHS2011になり、ディスクが大容量化して物理ディスクの論理結合が必要なくなった、という理由でDEは廃止されました。

おそらくベースとなったWindows Server 2008 R8のバックアップは、一つのバックアップの総容量が2TBを超えられないので、丸ごとバックアップしがちなWHSでは容易に2TBを超えるディスクボリュームを用意できるDEは望ましくない、という理由だと思います。

 

ということで、WHS2011ではDE代替ソリューションを導入しない限り、一つの共有ディスクはひとつの物理ディスクの容量に収まる必要があり、場合によっては手動バランシング運用を強いられてきました。

 

WHS2011導入当初はDrivePool, DriveBender, VVALUT等のDE代替ソリューションはいずれもベータ版や開発途中であったため、結局導入せずに手動バランシングで凌いでいました。

今となってはVVAULTもDrivePoolもバージョンが上がったので、それぞれのソリューションの特徴を押さえて導入してみることにしました。

 

StableBit - The home of StableBit DrivePool and the StableBit Scanner

 

Drive Bender

 

VVAULT® - 無料で使えるストレージ仮想化ソフトウェア

 

VVALUTは国産のストレージ仮想化ソフトウェアです。DE代替ソリューションというよりは、もっとビジネスにも使える層を目指しているそうです。

同一プール内のファイルデュプリケーションはサポートしておらず、ファイルベースのデュプリケーションは複数のプールを用意する必要があるようです。

 DrivePoolはWHS v1のDEに近いです。同一プール内でフォルダ単位のファイルデュプリケーションをサポートしています。

DriveBenderは…調べていません。国産のVVAULTか、DEに近いDrivePoolの2つしか検討対象にしていません。

 

正直、あまり手間は掛けたくなく、手軽に使いたかったので、WHS v1の使い方に近いDrivePoolを導入することにしました。

 

以下、DrivePoolを使ってみての印象です。

  • ドライブレターが割り振られた状態でプールに追加されているので、プールに追加されているにも関わらず普通の単独のボリュームとしてもアクセスできます。この仕様のおかげで既にファイルを格納されたボリュームを、ファイルを削除することなくプールに追加できます。
  • プールされたボリュームからストリーミングできない、という記事がありましたが、現在のバージョンでは問題なくストリーミングできています。とはいえ、WHS 2011のストリーミング機能は使っておらず、Air Video HDを使っているので、特に支障無しです。
  • WHS 2011のシステムバックアップを取得するためにバックアップ用ディスクを追加してServer Backup機能を使っていますが、プールボリュームをバックアップ対象に加える事ができません。システムバックアップ用には小さな物理ディスクを用意しておいて、ファイルバックアップはファイルデュプリケーションに任せる、という使い方になりそうです。WHS 2011とWHS v1のハイブリッド的な使い方になりますが、もう少しスマートな方法は無いものか…。

 システムバックアップとファイルバックアップの両立について少し知恵を絞らなければならなさそうです。

*1:スパンボリュームは複数の物理ディスクにまたがって一つの論理ボリュームを作成するので、一つの物理ディスクを取り出してもボリュームとして完全ではないのでファイルアクセスができなくなります。